「新月」に木を伐るというコト。

「新月」に伐採するとは?


「新月」に伐採するとは「お月様」が無くなる時期に木を伐採することです。
今では伝説のように思われる事かもしれませんが、世界最古の木造建築、法隆寺にも、冬の「新月」の時期に伐った木が使われている・・と言われています。
 しかし、ここ四十年位の間に林業はもとより、建築業界、木材流通の中では「新月」のことだけでなく、冬に木を伐ることさえ忘れ去られてしまいました。安い輸入木材が普及し、その価格にあわせるように国内の木材価格が下がり、伐採する時期など考えて出荷していてはもうからない・・という経済優先の流通ができあがり、いつの間にか無くなってしまったのです。
 「新月」とまではいかなくとも、昔はちゃんと、秋~冬の寒い時期に伐った木を建築材として使っていました。ここ数年、環境意識が高まり、今、森林の持つ役割が見直されてきています。しかし、ただ単に多くの木を使うことだけが着目されるばかり・・。強制的に木を乾燥させる機械の普及で、さらに木の伐採時期は関係なくなっています。夏場に向かって体内に養分や水分を多く取り込んでいる状態の「木」と冬の寒さにじっと耐えて待つ「木」・・・先人は後者を選択してきたのです。

「天然乾燥」の木と新月時期の木の特徴



 「天然乾燥」では、1年~2年という本当に永い期間、木を管理しなくてはなりません。この長い期間の間には、せっかく伐った木が虫の食害やカビ、腐りなどで被害を受け、最終的に製品として出荷できる割合が少ない事が多いのです。そうした時、新月時期に伐採した木は、そうでない木よりも乾燥しやすく、乾燥期間中の「木食い虫」などの被害や「腐り」などが少ないことがわかりました。いかにして良い天然乾燥の木材を手に入れるか?そんな需要から新月時期に伐る木材を使うことで天然乾燥期間のリスクを軽減しているのです。

 「民家再生」や「伝統的な工法」の建物には、この「天然乾燥の木」が必要です。言いかえれば、もともと昔は乾燥機なんか無かったワケですから、「天然乾燥」させた日本の木をどのようにして使えば良いか・・という試行錯誤の中から、現在の日本独自の木造建築が確立してきました。そうやって月の動きや自然の流れに沿って造られた昔の建物は今も数多く残っています。そんな事実を今の家造りにも活かす事が、本当の意味での100年や200年の住宅に繋がるのです。こだわるなら、まず「木」にこだわってみましょう。

「新月伐採」
エルヴィントーマが提唱し、日本では「新月の木国際協会」およびその役員が彼の本を翻訳、様々な実験や、普及、啓発活動を行っている。「新月伐採」や「新月の木」という言葉の使用権は、同協会が所有している。
1:秋から冬の下弦から新月に至る1週間ほどの期間に伐採する。
2:伐採に際しては谷側に倒す。
3:長期間葉枯らしを十分にする
4:製材後は天然乾燥を行う。
これが新月伐採といわれる「第1」の条件です。なぜか他の時期に切ったものは、その後工程を同じにしてもあとに述べる特徴を発揮してくれません。
3の長時間葉枯らしをするときに、山側に倒したスギでは、辺材中の水分が取り除かれ、カビにくい条件を木材に与え、また、谷側に倒したスギでは、木材に蓄えられたデンプンなどが徐々に減っていき、逆にフェノール成分は増加する。どちらも、木材がカビにくい原因になっていると思われるが、条件が許すならば谷側に倒した方がより威力を発揮します。
★新月伐採木材の特徴: 燃えにくい カビに強い 腐食に強い 害虫に強い 割れ・狂いが生じにくい、と言われています。
※但し、木によってそれぞれ個性や特徴があるので、その地域や山林、樹種や用途によって方法や時期を調整する必要があります。

※新月伐採、新月の木については・・

  • 新月の木国際協会まで

NPO新月の木国際協会



「月齢伐採」
「月の暦(こよみ)」で伐採を行い、その伐採時期により、木材管理、製材管理を分けて行う方法。 当初は、新月の木国際協会による「新月伐採」と同意の言葉として、もともと新月伐採を実施していた「榊原商店」が、(一社)木暮人倶楽部の協力のもと、権利取得した言葉。伐採方法、伐採後の管理等は、新月伐採とほぼ同じだが、林業サイクルの立場から、伐採時期については、新月前の1週間に限定せず、あくまで、月が変化してゆく期間の中で、伐採された木を、その時期によって分別して管理し、製材する、という方法。主には、新月前の約2週間の期間に主な木材の生産をしている。

葉枯らし(乾燥)
葉枯らしとは葉っぱをつけたまま木材を林地に放置し、徐々に木材を乾燥させる事。長時間行うと、貯蔵成分の分解とフェノール成分の生成をもたらし、木材の辺材部にカビにくい性質を付与することが出来ます。この葉枯らしが行われないと、新月伐採の効果は得られません。また、新月とは、正午が基準となる為、新月の日と言っても、昼を過ぎると、すでに満月に向かうサイクルに入っていますので、新月の日(旧暦の1日、朔の日)の前日、もしくは新月の日の真夜中までが、伐採に適した時期という事になります。

製材後に行う天然乾燥は、あくまで自然のままで乾燥をし、割れや狂いが起こらないように製品として完成させる最後の行程で、山中で行う天然乾燥とは、種類の違うものになります。

木材のトレーサビリティ
トレース(追跡する・たどる)+アビリティー(~出来る事)=トレーサビリティ(追跡可能性)   木材におけるトレーサビリティとは、木材がいつどこで、どのように扱われてきたのかを明確にする(新月材であるのかを明確にする)必要性から考えられた、木材の品質管理のためのシステム。

※月齢伐採、葉枯らし天然乾燥の木材については・・
天竜T.S.ドライシステム協同組合まで

■ 木材用語

ヤング係数
部材に応力度が加わった時のひずみ度(例えば引っ張られた時に材の伸びと全体の長さとの割合)と応力度の関係は、応力度が小さい間ははぼ比例の関係にあるので、その比例値が分かっていれば、ひずみ度の長さを求めることができる。この応力度とひずみ度の比を「ヤング係数」といい、Eで表す。
天竜地方の杉のヤング係数は、一般に流通している杉がE50程度に対し、E70~E90となっており、繊維が多く粘りのある材料といえます。

含水率(がんすいりつ)
全乾木材重量に対する含有水分重量の比率である。言い換えると、カラカラに乾いた木の重さに対するその木に含まれるお水の重さの比率である。したがって、オレンジジュースと違い100%を超える場合がある。
秋から冬期にかけての樹木は、含水率が低くなります。その中でも冬至の頃が一年で最も低いと言われます。この1年の水分サイクルと同じように、月の満ち欠けの中でも、行われているといわれています。


「こころ現代民家」では、月齢伐採された木や天然乾燥された木材を使った家づくりを積極的に行っています。

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