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「 こころ現代民家研究所 」 の木造建築

日本の木は凄い!日本の木は楽しい!日本の木は優しい!

「ココロ」はなぜ国産や地域の杉、桧材を使うのか?

手入れの行き届いた森(光が入り明るく、下草が生えている)
国産材が余っている・・という話はどこかで聴いたことがあるでしょう。しかし、木材の国内自給率は20~30%ほどなのです。余っているのに、使われていない・・この原因は流通の価格によるものです。しかし石油価格高騰、輸送コストの増大、輸入森林資源の枯渇などにより、これから国産材はどんどん使われることになるでしょう。とはいえ、現在の流通価格では、実際に山を再生するコストは捻出できません。あくまでも、外国産の安い木材価格をベースにした価格設定となっているのです。
ココロがどうして国産材(杉・桧)を使うのか?これは、外国の木材が高価になってきたからではありません。やっぱり日本の木は凄いからです。そして、日本の木が好きだからです。何が凄いのか?何が好きなのか?
杉は、何といってもその温かさ。と柔らかさ。です。触るとわかりますが、杉の床板は冬は暖かく、夏は湿気を調整してさわやかです。柔らかさは少々気をつけないといけませんが、この柔らかさも素足ですごすには最適です。
桧は、あの独特な香りと高い防虫性です。杉に比べ表面は硬いですが、カンナをかけた後の独特のスベスベした肌触りは、外国産の材にはありません。しっかりカンナがかかれば、そのまま撥水するほどにもなります。
そして、国産の木材で今重要なのは、「できるかぎりエネルギーを使わないで、手に入れることができる材料」だということです。これが皆さんの家に近いところであればあるほど、さらに輸送エネルギーがかからないことになります。身近なところで手に入る再生可能な資源をつかうことは、今の子供たちや将来の日本のために必要なことだと思っています。一生に一度の家づくり、こんな未来のことを考えながらやってみてはどうでしょうか。


「ココロ」はなぜ天然乾燥木材にこだわるのか?

木材の間に「しら」と言われる桟をはさみ、自然に、ゆっくり乾燥させる
石油エネルギーを節約し、身近なところで手に入れることができることが、国産木材の良いところなのですが、実際に流通している国産木材は輸送以外にもっと石油を使っている部分があります。それは、木材の乾燥です。現在の木材は、山から伐り出した後、重油を燃やした高温の釜に入れられ、短時間で乾燥させられて一般市場に出されます。この高温で乾燥された木材は、本来、木が持っている繊維の粘りが無くなっています。見た目には表面に割れが無く、綺麗に見えても、中は繊維を断ち切るような細かいひび割れが無数にできています。天然乾燥材は逆に表面から中心に向かって大きなひび割れが発生しますが、各繊維同士はしっかりつながっています。また、高温で乾燥すれば防虫などに効果のある成分も従来より大分減ってしまいます。
せっかく、香りが良く、ねばり強い木材なのに、人工的に乾燥することで、それらの性能は半減、もしくは無くなってしまいます。
もともと200%以上ある木材の水分を一気に20%以下まで落とすワケですから、どこかでその代償がでてくるのです。同じ国産材という名前でも、高温乾燥された木材は、もう外国産木材と同じだと考えても良いくらい、エネルギーを使い、木材の性質も変わっているのです。だから、ゆっくり自然に乾燥させる「天然乾燥」にこだわっているのです。これは、家自体の寿命にも大きく影響すると考えています。また、日本の木造建築は、この「割れやすいが、ねばり強い」という天然乾燥の木を前提とした造り方になっています。日本建築と天然乾燥木材はセットで考える・・だからこだわりがあるのです。


何故、葉枯らし乾燥をするのか?

葉枯らし乾燥をしている伐採現場(最低3ヶ月間の乾燥期間をおく)
最近は良く「葉枯らし乾燥」という言葉を耳にします。これは、木を伐採した後、枝・・つまり葉をつけたまま山に放置し、丸太を乾燥させることをいいます。枝を直ぐに落としてしまうより、葉をつけたままの方が木の体内の水分が葉から放出され、良く乾燥するのです。一般的には、伐採後の木材は直ぐに枝を落とされ、トラックサイズにカットされてそのまま丸太市場に運ばれて売られます。しかし冬場に伐られた木材でも、多くの水分を含んでおり、これを強制的、人工的に乾燥して使うことになります。葉枯らし乾燥をすることで、時間はかかりますが、もとの半分以下の水分量まで乾燥を進めることができます。もともとは、人力で丸太を運び出した時代に、できるかぎり丸太を軽くするために行っていたと言われます。現在は人力で運び出すことはしませんが、重さを軽くしてから運び出すことは、輸送エネルギーの節約にもなります。そして山から下ろされた後の乾燥促進のためにも、天然乾燥する為には葉枯らし乾燥は必要不可欠だといえます。
一方、山の中に一定期間、放置される為、虫などにつかれたり、変色したり、というリスクがあることは事実です。その為、葉枯らしの材料は、材料の選別や使用箇所による種別が大変重要になってきます。また、そのリスクを少しでも回避する為に、水分量や養分量が少ない冬場に伐採したり(冬季伐採)、旧暦(月暦)に沿って新月に向かう時期に伐採する方法など、をとっています。「葉枯らし」と「選別、種別、冬季伐採、旧暦に沿った伐採」。これらは常にセットで考える必要があると考え、取り組んでいます。
※「新月伐採」は、NPO法人新月の木国際協会が提唱するもので、新月の直前、1週間の間に伐採した木を協会で認証して出されているものです。当方が採用しているTSドライの木材とは違うものです。

何故、木材の履歴管理をするのか?

伐採後、木の情報が追跡できるように全てバーコードシールを貼る。
「葉枯らし乾燥しています。」といっても、本当に葉枯らし乾燥した丸太なのかは、一般では本当の所わかりません。イベント的に伐採体験をさせて「葉枯らし乾燥をしています。」というトコロが正直、ほとんどです。本当に葉枯らし乾燥をしているのか?を知るためには、徹底した履歴管理が必要です。
また、日本の木ほど個性が強い木はありません。生えている場所や山によって全く違う色をしていたり、条件によっては強度も全く違います。同じ一本の木でも上と下とは違いますし、それが一様に使われているのが現在の木材市場です。食品ではないのだから、履歴を管理するする必要はないのでは・・と思われがちですが、木材も立派な農産物です。履歴を残すということは、それに係る部分にそれぞれ責任が発生するということになります。林業家(山主)、素材業者(木こり)、製材屋がそれぞれの責任をあらわすワケです。もちろん、本来は履歴が残る、残らないにかぎらず、ちゃんとしたモノを提供するべきなのですが、残念ながら、実際は大変いいかげんなものです。それに個性がマチマチな国産材ですから、履歴が残っていれば、その木の特性などにより正しく選別することができます。
また、山側で履歴管理されていても、実際に製材する側で引き継がれなかったり、設計や施工サイドで関係の無い使い方をしていては意味がありません。木材一本一本の個性を活かしながら造るのが本来の日本の建築なのです。